CCUS(建設キャリアアップシステム)とは何なのか!?
僕は他人に聞かれると一言で「建設業界でのマイナンバーカードみたいなものです」と説明します。
もう少し詳しく書くと、建設業界における技能労働者の能力と経歴を一元的に管理し、キャリア形成を支援する仕組みです。
ちょっとややこしくなりましたね。
結局何ができるのか?
何をするものなのか?
今日は2024年12月20日現在のCCUSのリアルな運用も含めて解説していきたいと思います。
概要と主な特徴
1. システムの基本機能
- 建設労働者の資格や現場での就労履歴を蓄積
- 技能と経験を客観的に評価
- キャリアパスの可視化
2. メリット
- 若手労働者のモチベーション向上
- 適正な処遇と賃金体系の構築
- 技能継承の促進
- 建設業界の人材確保と育成
3. カードの種類
- レベル1:初級
- レベル2:中級
- レベル3:上級
- レベル4:熟練技能者
4. 登録対象
- 建設現場で働く技能労働者
- 元請け、下請け企業の従業員
5. 政府の支援
- 国土交通省が主導
- 導入支援と普及推進
- 各種助成金の用意
つらつらと書いてみましたがこんな感じでしょうか。
現場では就労履歴を確認するために現場事務所で端末にカードをかざしたり、顔認証で就労履歴を蓄積しているところも増えてきました。
もう少し進化していると現場から一定の距離内に入ると勝手に現場に入場したことになり就労実績がつく設定もできます。
「じゃあ、それってなんの為なの?」
というと、後述して詳しく書きますが元請はこれを導入する事によって評価点に加点されます。(ちゃんと運用していれば)
もちろんそれだけではありません。
現在はまだ運用できていませんが、建退共と連動する目的もあります。こちらはまだ100%実施できていません。
また、技能と経験、資格取得によってカードの種類が変わってきます。元請さんによってはカードのランクが高い職長さんには特別に手当を出しているところもあります。僕はスーパーゼネコンさんしか知りませんが。
CCUSの具体的なメリットは?
CCUSには、事業者と技能者の両方に多くのメリットがあります。
事業者にとってのメリット
- 公共工事での加点: CCUSを導入することで、公共工事の入札評価において加点される可能性があります。
- 業務効率の向上:
- 技能者の就業状況を容易に確認できます。
- ICカードを使用した入退場管理により、現場の管理効率が向上します。
- 出面管理の正確性が向上し、業務負担が軽減されます。
- 技能者の適正評価: 技能者のキャリアやスキルを客観的に判断し、適切に評価できるようになります。
技能者にとってのメリット
- キャリアの証明: 自身の資格や就業履歴を証明できるようになります。
- 適正な評価と処遇: 働く現場に関わらず、適切な評価と処遇を受けられる可能性が高まります。
- キャリアアップの可視化: 自身のスキルや経験が可視化され、キャリアアップの道筋が明確になります。
- 建退共の電子給付: CCUSで就業履歴を記録・蓄積することで、建退共の電子給付(320円/日)を受けることが可能になります。
業界全体へのメリット
- 若手人材の確保: 適正な評価と処遇により、若い世代の建設業界離れの改善が期待されます。
- 工事品質の向上: 技能者の適正な評価と処遇により、工事の品質向上につながる可能性があります。
これらのメリットにより、CCUSは建設業界全体の効率化と技能者の待遇改善に貢献することが期待されています。
次にCCUSを導入するのにかかるコストと手間をいていきましょう。
CCUS導入するのにかかるコストは?
CCUSの導入コストは、事業者と技能者それぞれに異なる費用がかかります。
初期費用
事業者登録料
- 資本金に応じて変動し、1人親方は無料
- 個人事業主や資本金500万円未満の事業者: 6,000円
- 資本金1,000万円以上2,000万円未満: 24,000円
- 最大で資本金1億円以上3億円未満の事業者: 120,000円
技能者登録料
- インターネット申請(簡略型): 2,500円
- インターネット申請(詳細型): 4,900円
- 認定登録機関申請: 4,900円
ランニングコスト
管理者ID利用料
- 1つのIDあたり年間11,400円(税込)
現場利用料
- 1人日・現場あたり10円(税込)
その他の費用
- カードリーダー等の機器設置費用
- PCやスマートフォンなどの端末費用
- インターネット接続環境の整備費用
- 就業履歴蓄積アプリ「建レコ」の導入費用
これらの費用に加えて、カードの再発行費用(1,000円)や、行政書士に登録を依頼する場合の手数料などが発生する可能性があります。
初めて知ったという方もいると思いますが、どうでしょう?
僕は「ちょっとかかるなぁ」という印象です。
しかし、現在では国交相の熱心な意向もあり元請さんもCCUSに加入している事業者を現場に入場させているのが事実だと思います。あくまでも公共工事の話ですが。
最近はお仕事をもらっても現場入場前にCCUS加入の確認をされるようになってきました。それは2次も同じです。
この傾向は今後益々増えてくると思われます。
公共工事をメインで仕事されている企業さんは感じているのではないでしょうか。
というか評価点にも関わってくるので点数を取れるところでは取っておきたいのが心情でしょう。
CCUSの今後の展望は?
CCUSの今後については、国土交通省が2024年6月に発表した3か年計画案を中心に、以下のような展開が予想されます。
3か年計画の主な取り組み
- 技能者の処遇改善
- 経験と技能に応じた賃金・処遇の改善を推進
- データ基盤整備による業務効率化
- CCUSを軸とした共通データ基盤の整備
- 現場管理業務などの効率化を図る
- 能力評価の推進
- 就業履歴の蓄積を活用
- 技能者の能力評価を推進
今後の展望
システム連携の拡大
2023年から建退共(建設業退職金共済制度)との連携が開始され、今後さまざまな制度やシステムとの連携が進められる見込みです。
義務化の進展
2023年以降、公共工事や民間工事を問わず、あらゆる工事でCCUSの導入が原則義務化されています。
メリットの拡大
技能者、専門工事会社、元請会社それぞれにとってのメリットが拡充される方向で計画が進められています。
データの電子化
従来の書面管理から電子方式への完全移行が進められ、就業履歴や資格情報などのデータ管理が徹底されます。CCUSは建設業界の「制度的インフラ」として位置づけられ、技能者の処遇改善と建設事業者の業務効率化を加速させることが期待されています。今後3年間で新たな進化を遂げ、建設業界全体の働き方改革と人材育成の中核システムとしての役割を果たしていくと予想されます。
国交相としても推し進めたい制度。今後益々建設業を行う上で必要になってくるものと思われます。
それは公共・民間工事問わずの話です。
であれば、まだ加入されていない企業さんは加入するべきでしょう。
ここは商流に逆らっては仕事ができなくなる可能性が大きいです。
ただ、CCUSの登録が面倒だっていう事業者さんもいるのはわかります。そういう時は代行サービスもありますのでそちらを活用してみて下さい。
どこを活用したらいいかわからない方はコメントもらえればご相談にありますのでご気軽にコメントください。
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